“ゼクシオイヤー”だけに…「XXIO」の歴史を中古でおさらい 狙い目は7代目
「ゼクシオ(XXIO)」シリーズは誕生から25年に渡って大ヒットを続けるモンスターブランド。ターゲットユーザーは高年齢層で、巷には「まだゼクシオは早い」と思っているゴルファーが多い。中古ショップには宝物が山ほどあるにもかかわらずだ…。最近、ゼクシオのスゴさを改めて感じた筆者がその魅力を掘り下げる。
ゼクシオ誕生とキャロウェイとの関係性
1990年代、キャロウェイは「S2H2」、「ビッグバーサ」、「X12アイアン」といった時代を代表するクラブを次から次へとリリースしていた。「ゼクシオの話なのに、どうしてキャロウェイ?」と思う読者も多いだろう。ダンロップは1988年からキャロウェイの日本における販売代理店の契約を結んでいたのである。
1999年、ダンロップのクラブ売り上げの5割以上はキャロウェイの製品だった。しかし2000年に契約が終了。世界で売れまくっていた無双ブランドの販売権を失うピンチを解消すべく、準備されていたのがゼクシオ(ツアースペシャルゼクシオ)だ。ターゲットユーザーは50歳前後にも関わらず、当時ツアーで若手として勢いのあった片山晋呉が使用して賞金王を戴冠しブームに華を添えた。
レディースモデルの人気は圧倒的
最新モデルは2023年12月に発売された13代目「ゼクシオ13」。ゼクシオの長年の特長の一つとして、レディースモデルが他ブランドを圧倒している点も挙げられる。2011年から2023年までの12年間の売り上げは、女性用クラブ市場の32%と圧倒的シェアを誇る(矢野経済研究所YPSゴルフデータより)。
中古ショップの女性客の比率は全体の5%に届かないが、ゼクシオのレディースクラブは非常に人気が高い。女性ゴルファーは中古クラブのグリップを交換するだけで、かなり打ちやすくなることがある。ただし、ゼクシオレディースの純正グリップはドライバー、フェアウェイウッド、ユーティリティ、アイアンの全てで重量が違う専用グリップとなっているので交換時は要チェックだ。
ゼクシオドライバーの変遷
初代モデル(2000年)は、当時のダンロップの主力ブランド「ツアースペシャル」のラインアップのひとつだった。ロフト角が8度と小さいモデルもあり、重くてハードな純正シャフトが装着されたツアーモデルが3代目(2004年)と4代目(2006年)には存在していた。現在のブランドイメージとはかなり違うだろう。
4代目は高反発モデルとルール適合モデルの両方がリリースされ、5代目「ザ・ゼクシオ」(2008年)以降はルール適合モデルだけに。6代目(2010年)と7代目「ゼクシオ セブン」(2012年)には「ゼクシオ フォージド」という少しハードなモデルも登場した。9代目「ゼクシオ ナイン」(2016年)、10代目「ゼクシオ テン」(2018年)には「ゼクシオ ミヤザキモデル」というオリジナルシャフトを前面に打ち出した製品もあった。
11代目「ゼクシオ イレブン」(2020年)からは同時に「ゼクシオエックス」というノーマルの「ゼクシオ」とツアー選手にも愛用者が多い「スリクソン」ブランドとの間のターゲットを狙ったシリーズを発売。“本丸”であるゼクシオシリーズが、よりシニア向けのスペックになっていく反動とも捉えられる。実測ロフト角も9代目以降は表示よりも大きい傾向が顕著になった。ブランドとしての分岐点を迎えていると言えるだろう。
オススメはズバリ7代目だ
筆者が推薦するのは7代目「ゼクシオ セブン」だ。2002年にスリクソンブランドが生まれ、「男子ツアーはスリクソン!」という流れを汲んできたが、7代目はプロの評判も高かった。
菅沼菜々、青木瀬令奈が使う「ゼクシオ エックス」(2024年)は、「スリクソンZ585」や「ZX5」などと比較しても、つかまりが良いのが特徴。ヘッドが少し軽く、ヘッドスピードアップも期待できる。中古市場ではまだ4万円台と高価なのが残念ではあるが。
名作はドライバーだけじゃない
ゼクシオはドライバーだけでなく、アイアンセットも高性能。最新作にも軽量スチールシャフト装着モデルがあり、ミスヒットに強くボールが上がりやすい。初心者からアベレージレベルにはピッタリと言える。当時から時代の最先端を走っていたので、25年前からロフトはストロング。初代ゼクシオアイアンの7番で32度、2代目から30度と、昨今の飛び系アイアンと比べてもそん色ない。
初代ならセットで1万円以下、10代目も高くて2万円台中盤とお買い得だ。チタンフェースなので溝の消耗度が極めて少ないのもおすすめポイント。ちなみに「ゼクシオフォージド」という軟鉄鍛造アイアンもコスパが良い。
そしてフェアウェイウッドが秀逸だ。球がつかまる、上がる、ミスに強いという三拍子そろっている。ただ、ハードヒッターにとっては純正シャフトが軽く、フレックス表記より軟らかめなのが残念。それでも青木瀬令奈が替えられない「ゼクシオ テン」をおススメしよう。
筆者は還暦を迎えてヘッドスピードも落ちてきた。正直なところ、しばらく「まだゼクシオは早いだろう…」と思っていたのだが、先日最新モデル「ゼクシオ13」を友人に借りてみたら、まあ驚いた。扱いやすく、ボールをラクに運べる。「そろそろゼクシオもいいかもしれない」と、まさに考え始めているのである。(文・田島基晴)

田島基晴 プロフィール
1963年生まれ。ゴルフギア好きが高じて、地元広島に中古ショップ「レプトン」のゴルフ部門を設立。現在は店舗で得たギア知識を活かし、ゴルフライターとして活躍。YouTube動画の企画編集やブログ執筆など活動は多岐にわたる。