“アイアンの賞味期限”は?ギアマニアの答え「ズバリ5~6年」視点で中古選び
ドライバーは新商品が出るたびに、プロやアマチュアが「飛距離が10ヤード伸びた」などと騒がしい。ところが、今も昔も素材や製法がほとんど変わらないアイアンは、メーカーが2年周期でモデルチェンジしても、「劇的な変化」を感じにくいのも事実だ。では、ゴルファーはアイアンを何年ごとに買い替えるのがベストなのか?ギアマニアが考えてみた。
20年以上前のアイアンもまだまだ使える
2024年にスタートするはずだった一般ゴルファー向けのクラブの溝規制は、現在、R&AとUSGAが事実上保留(競技以外の一般プレーでは当面は使用可能)している。「ルール適合外になるから買い替える」という最大の口実もなくなったため、アマチュアが歴代の名器を使うのは問題ない。
アイアンは性能の変化が非常に緩やかで、例えば1980年代のピン「EYE2」、1990年代のキャロウェイ「X12」、2000年代のダンロップ「ゼクシオ」を使うゴルファーを見かけても、「買い替えたら?」と助言する気はまったくない。ツアープロのように毎日何百球も芝の上から打ち込むような使い方は、一般アマにとっては無縁の話。ただし、シャフトやグリップなど、付属物の劣化が買い替えのタイミングになることがある。
そもそもアイアンは進化しているのか?
20年前のアイアンを今打っても、打感や方向性に「劇的な進化」を感じることは少ない。進化したように見える最大の要因は、近年のストロングロフト化だ。7番アイアンのロフトが34度から30度、あるいはそれ以下になった。番手の表示が変わっただけで、物理的な弾道特性が魔法のように変わったとは言い切れない。もちろん、ロフトを立ててもボールが上がりやすくなる性能面の向上はあるが、スピン量は落ちてしまう。
一時期の市場を席巻した「超飛び系(7番のロフト角が20度台前半)」のブームも一段落した。飛び系アイアンにも「適正スピン」や「顔の良さ」を求める動きが見られている。「7番で何ヤード飛ぶ」という見栄よりも、コースで戦略的に使えるか否か、という本質的な原点回帰の結果だろう。そもそも、ウッド型UTが普及した今は、ロングアイアンを持つ必要性が昔ほど高くない。
昨今は基本性能よりフィーリングに注力?
アスリート・セミアスリート向けの軟鉄鍛造アイアン、マッスルバック、ハーフキャビティなどは、打感と顔の良さが完成系に近く、進化のスピードはかなり遅い。最近は軟鉄の素材にこだわり、「S25C」よりも「S20C」、さらに「S15C」といった具合に、炭素含有量が少ない鉄を使用して、より柔らかい打感を追求する傾向もある。
複合ポケットキャビティ、中空などのモデルの性能は緩やかに進化しているものの、進化のベクトルはやはり打感や構えやすさの向上がメインのようだ。本来の性能の進化よりも、ネガティブな要素を消すことに注力しているように感じる。「打感も、構えやすさも気にならない」というゴルファーには、進化のポイントをうたっても刺さりにくいだろう。
「賞味期限」はゴルファーの体力と相談すべき
アイアン自体の性能に劇的な進化がないとすれば、本当の賞味期限の見極めは、ゴルファー自身の体力の変化によるところが大きいのではないだろうか。以前、あるクラブメーカーの担当者から、アイアンの製造は「“前作”ではなく、“前々作”を使うユーザーの買い替えを狙っている」と聞いたことがある。つまり4年周期での買い替え需要を見越しているということだ。
筆者としては「5~6年」が一つの目安だと思う。この周期は、ゴルファー自身のヘッドスピードやスイングの変化が顕著に表れ、スペックの見直しが必要になるタイミングと合致するからだ。加齢により、飛距離がぐっと落ちるタイミングで使用クラブを見直す手がある。もちろん、アイアンは傷がつきやすい素材のものも多く、傷による見た目の劣化が気になる場合に買い替えるケースもあるだろうが、性能にはあまり問題がない。
中古で狙う!色褪せない名器たち
アイアンが長く使えるクラブであることを説明してきたが、最後に筆者の好みで、オススメしたいモデルを紹介しよう。4~6年使うことを前提に考える。ピンであれば、「i210」が新品同様で見つかれば、後継モデルの「i230」よりも手に入れたいと思う。
ダンロップ「スリクソンZXi5」も同じように、年式より状態を優先したい。「ZXi7」は素材にS15Cを使って打感の向上をアピールしているが、状態がよければ筆者は前作「ZX7 Mk II」を選ぶ。
ブリヂストンの「ツアーB CB」シリーズも過去モデルの方が好ましいケースもある。なによりも大切にしたいのが、装着されているシャフト選び。長く使いたいなら絶対に妥協してはならない。工房でのライ角とロフト角のチェックも長く使うなら必須だ。
アイアンはその寿命の長さから、最新作に引けを取らない“エバーグリーン”なモデルが中古ショップに低価格で眠っている。お気に入りのアイアンを手に入れて、育て、長く使うことで経験という性能が蓄積される。上達のためには「買い替えない勇気」も必要だ。(文・田島基晴)
田島基晴 プロフィール
1963年生まれ。ゴルフギア好きが高じて、地元広島に中古ショップ「レプトン」のゴルフ部門を設立。現在は店舗で得たギア知識を活かし、ゴルフライターとして活躍。YouTube動画の企画編集やブログ執筆など活動は多岐にわたる。