クラブは“顔”が命! 2020秋の最新ドライバーを見比べ隊
一目惚れする1Wは? “豊作”11本を解説
G425、TSi、SIMグローレと話題の海外ブランドが続けば、スリクソン、ツアーB、インプレスといった国内ブランド勢が負けじと応戦。すでに“豊作”という声も聞こえる2020年秋のドライバー群の“顔”を見比べたい!! ということで、クラブ設計家・松尾好員氏の解説付きで、最新モデル11本を並べてみた。
見た目で分かる高慣性モーメント「G425 MAX」
ピン「G425 MAX ドライバー」は、同シリーズの従来モデルと同じく、全体的に少し三角形に見える形状をしています。大きな特徴は横幅を広げて慣性モーメントを大きくした点。トウ側に高さをつけ、アップライトに感じさせる構造となっています。米国モデルらしくフェースはオープン気味でスクエア感を重視しています。
小ぶりでロースピン構造「G425 LST」
ピン「G425 LST ドライバー」は、「MAX」「SFT」と比べ、小ぶりのオーソドックスな輪郭が特徴です。他2モデルよりひと回りサイズが小さく、差別化できていることが分かります。「MAX」との類似点は、オープンフェース設定。一方で「MAX」より少しスイートスポットが低めで、ややスピンを減らす構造に仕上げています。
3兄弟の中で明確なつかまりタイプ「G425 SFT」
ピン「G425 SFT ドライバー」は、ヘッド全体のイメージと横幅は、ほぼ「MAX」と同じです。明らかに「MAX」「LST」と違う点は、フェースがフック設定であること。同社製としてはめずらしく、球のつかまりを優先させたモデルと言えます。タングステンウエイトがヒール寄りに配置されていることからも、その特性は明確です。
スピード感を持てる「ビッグバーサ」
キャロウェイ「BIG BERTHA ドライバー」は、ヘッドの横幅が広く、全体として三角形に見える独特な形状。ただ、全体のフォルムが丸く大きいわけではないため、スピード感を持てる形状に仕上がっています。ヘッド後方が低いシャローバック形状で、アッパー軌道のスイングをイメージしやすい構造であることが分かります。
丸み&縦長が特徴「SIMグローレ」
テーラーメイド「SIM グローレ ドライバー」は、形状的に丸みがあるものの、トウの先端側がやや張り出しており、全体として縦長に見える形状となっています。全体として少し小ぶりですが、同社「SIM」「SIM MAX」とは一線を画し、少しフックフェース設定ということからも、球をつかまえやすいタイプであることがうかがえます。
前作から大きく変化「ZX5」
ダンロップ「スリクソン ZX5 ドライバー」は、従来の「スリクソン5」シリーズとは異なる点が多く見られます。まず丸型だった形状はやや縦長に変わり、少しフックフェースだった部分もオープンに変化しています。全体的な雰囲気は「ZX7」に似ており、重心距離を長めに設定し、フェード弾道を打ちやすくしています。
5シリーズに近い印象の「ZX7」
ダンロップ「スリクソン ZX7 ドライバー」は、「ZX5」に比べて少し輪郭に丸みがあり、ややオーソドックス感が出ているモデルです。以前より5シリーズとの差がなくなった7シリーズ。今回の「ZX7」の特性も「ZX5」に近く、重心距離が長め、フェースもオープンと共通点は多いです。どちらも世界戦略向けということが分かります。
つかまり感さらにアップ!「UD+2」
ヤマハ「インプレス UD+2 ドライバー」は、従来モデル同様にフェースプログレッション(※)が小さい、いわゆるグースネック設計。フックフェースの度合いは前作より強く、球をつかまえるイメージがさらに強調されています。横幅が広く、4時・5時方向の張り出しも大きいため、投影面積の大きい丸型ヘッドに仕上がっています。
※フェースプログレッション(FP):シャフトの中心線とリーディングエッジとの間の距離
前作よりオープンフェースに「ツアーB X」
ブリヂストン「ツアーB X ドライバー」は、ヘッド全体はオーソドックスな丸型ですが、前作と比べてオープン気味のフェース設定となっています。トウ側の高さが低めで、ライ角をあまりアップライトに見え過ぎないようにしている点は、球がつかまり過ぎないイメージと操作性の良さを演出しているように見受けられます。
慣性モーメントを意識した「TSi2」
タイトリスト「TSi2 ドライバー」は、前作「TS2 ドライバー」よりひと回り大きく、高慣性モーメントを狙っていることが分かります。オープンフェース設定で、しかもフェースのトウ先に逃げ感をつけ、前作よりスクエア感を重視。後方が低いシャローバック形状は、アッパー軌道をイメージさせやすいと言えます。
「TSi2」とは逆に小ぶりに進化「TSi3」
タイトリスト「TSi3 ドライバー」は、「TSi2」とは逆に、前作「TS3 ドライバー」よりひと回り小さく、シャープな振り抜き感と操作性の良さ、インテンショナルに弾道を操るイメージを持てる形状に仕上がっています。フェースのトウ先に逃げ感をつけ、よりスクエア感を重視している点は、シリーズ共通部分ということが分かります。
投影面積&フェース角でグラフ化
今回の11本を投影面積(縦軸)とフェース角(横軸)でグラフ化。単純に「投影面積」が大きければ、構えた時の安心感に。逆に小さければ、操作性の高さにつながる。「フェース角」はつかまりやすさを把握できる指標に。最新ドライバーの購入を考える際に参考にしていただきたい。
■ 松尾好員(まつお・よしかず) プロフィール
神戸大学工学部卒業後、住友ゴム(ダンロップ)に入社し、クラブの設計開発に携わる。世界4大メジャーで最も多くの選手にクラブを提供した日本人クラブデザイナーとして知られる。現在ジャイロスポーツを主宰。
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