PWのロフト分かってますか? ストロングロフト時代のギャップウェッジ選び 中古で指南
2025/01/17
「アイアンでも飛距離を稼ぎたい!」というゴルファーの煩悩から、アイアンのロフト角がどんどん少なくなってきている。しかし全ての番手が飛ぶようになっても、スコアメークに直結しないと気づいているゴルファーは意外と少ない。最近のアイアンセットは“飛距離の階段”に大きなキャップが生まれているからだ。この間隔を埋めるクラブを中古で探してみよう。
アイアンのロフト角の歴史
筆者がゴルフを始めた35年前、尾崎将司や中嶋常幸が使用したアイアンセットにAW(P/S)という番手が追加された。ストロングロフトと呼ばれる、ロフト角の少ないアイアンセットを彼らが使い始めたのが起源だ。それまでPWのロフト角は50度前後が一般的だったが、彼らのアイアンのPWは48度だった。SWのロフトはほとんど56度だったため、ギャップを埋めるべく52度前後のウェッジAW(P/S)がアイアンセットに加わるようになった。
各番手のロフト角の減少傾向は2000年代に入っていっそう進行し、現在のPWのロフト角は一部の上級者モデルを除けば44度以下が一般的。流行りの“ぶっ飛び系アイアン”は38度というものすらある。短い番手で飛距離のギャップは広がるばかりだ。
PWの44度とAWの52度とでは8度のひらきがある。アイアンを新調したら「おかしいな?PWが飛び過ぎてしまう」という、イマドキのセッティングの“アキレス腱”を感じてはいないだろうか。メーカーもそれを察してPWとAWの間の番手をアイアンセットのオプションとしてラインアップに入れるようになった。例えば、タイトリスト「T150」や「T200」には48度前後の「W」がオプションで用意されている。
まずやるべきことは、自分のアイアンセットの番手別のロフト角を知ることだ。人気のダンロップ「スリクソンZXi5」や前のモデル「スリクソンZX5」、タイトリスト「T150」のPWは44度、ピン「i230」や「i210」は45度しかない。
最近のアイアンのロフトはトッププロ仕様モデルもこれだけストロング。アマチュアに人気のダンロップ「ゼクシオ13」は42度、ピン「G430」に至っては41度しかない。昔のアイアンセットの感覚で「PWの次はAW」とボーっと構えていると、すでに10度前後のギャップがある。実に2番手の飛距離コントロールをしないといけなくなってしまう。
意外と面倒くさいギャップの埋め方問題
ではそのギャップをどう埋めるか。アイアンセットに先述のタイトリストやピン「G430」等のように単品販売のオプションが用意されていれば、それを利用するのがベスト。顔の作りや、バウンス角にも繋がりが出る。中古ショップでは単品アイアン売り場を熱心に探して欲しい。
問題はオプションがないケースで、その場合は単品ウェッジから選ぶ必要がある。PWのロフト角を参考に5度前後の差をつくろう。こちらは普段使っているAWやSWのモデルに寄せて選ぶと違和感がないだろう。
意外な落とし穴 バウンス角やソール形状で飛距離が変わる
いきなり歯切れが悪くなって申し訳ない。ゴルフクラブの飛距離を決めるのはロフト角とクラブの長さと言い切りたいところだが、アイアンとウェッジでは形状でスピン量がかなり違う。さらにバウンス角やソール形状でも飛距離が変わってしまう。特にフルショットの場合に影響が大きい。
ウェッジはスピン量を確保する重心位置になるので、アイアンと同じロフト角だとしてもスピン量が増えることで、狙い通りの飛距離が出ないことがある。加えてバウンスが地面に当たることでインパクト時のロフト角が減ってしまう。ソール形状によってインパクト時のロフトが立ってしまうこともあるし、逆に抜けが良過ぎて飛距離が落ちることもある。
ウェッジは“曲げられる”ことを忘れずに
ただし、ロフト構成を考える際に都度買い替えが必要かと言うとそうではない。ほとんどのウェッジはロフト角を調整できる。タイトリスト「ボーケイシリーズ」も、キャロウェイ「OPUS」も素材が軟鉄なのでロフト角調整ができる。PWとAWのロフト角を把握して、その間の46度から48度前後のウェッジを購入してみる。違和感をなくすためにモデルとシャフトをそろえるのを忘れずに。
コースで試すのが一番だが、最近は弾道測定器付きの打席を持つ練習場も多い。フルショットの飛距離を把握し、困ったら工房に持ち込んでロフト角を調整してもらおう。筆者は52度のAWを50度にすることで守備範囲を広げた。
コントロールショットはスコアメークの生命線。ウェッジを追加することで練習する機会が増え、アプローチが上達する…なんていう効果も期待できる。ロフトのギャップだけでなく技術のギャップも埋めてみるのはいかがだろう。(文・田島基晴)
田島基晴 プロフィール
1963年生まれ。ゴルフギア好きが高じて、地元広島に中古ショップ「レプトン」のゴルフ部門を設立。現在は店舗で得たギア知識を活かし、ゴルフライターとして活躍。YouTube動画の企画編集やブログ執筆など活動は多岐にわたる。
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