パラダイム Ai スモーク ドライバーは、本当に芯を外して打っても飛ぶ?
キャロウェイゴルフから2024年の新シリーズ『パラダイム Ai スモーク』が発表された。AIによるフェース設計が大幅にバージョンアップし、たとえミスヒットしてもまっすぐ遠くへ飛ばせるクラブになっているという。果たして、それは本当なのか。ゴルフライターの鶴原弘高さんがクラブ性能を試打検証。アマチュア3人の試打では各ゴルファーの最適モデルを探った。
■AIがリアルスイングデータを解析してつくられた新フェース
キャロウェイがドライバーに初めてAIによるフェース設計を採用したのは、2019年発売の『エピック フラッシュ』。このときはボールスピードの最大化とフェースの堅牢性のみをAIに計算させていたが、モデルチェンジごとにAIによる設計はどんどん進化し、2022年の『ローグ ST』では打ち出し角とスピン量を最適化できるフェース設計になり、2023年の『パラダイム』ではボールの着弾点を狭くする(弾道の左右ブレを減らす)フェース設計ができるようになった。
そして2024年の『パラダイム Ai スモーク』では、新たにリアルゴルファーのスイングデータをAIに読み込ませて計算させることに成功。25万人分のスイングデータと約100万個にも及ぶショットをAIに入力し、打点位置のみならず、ヘッドの入射角、ヘッド軌道、インパクト時のフェース向きまでを解析。さらにPC上で5万回ものシミュレーションショットを繰り返し、ついに「Ai スマート フェース」を完成させた。
■打点のズレを「マイクロ ディフレクション」が補正する
新開発のAi スマート フェースは、インパクト時にフェース面上の局所で無数の小さなたわみ(マイクロ ディフレクション)を発生させるように設計されている。これによってボールの打ち出し角やスピン量を補正し、オフセンターヒットでも飛距離と方向性が保てるようになっている。
『パラダイム Ai スモーク』のドライバーには、『MAX』、『MAX D』、『MAX FAST』、『◆◆◆(トリプルダイヤモンド)』の4タイプが用意されていて、各モデルによってフェースの設計が変えられている。これは対象ゴルファーのヘッドスピード、スイングタイプ、持ち球の違いなどによって最適解となるフェース設計が異なるためだ。言い換えると、モデル選びさえ間違わなければ、誰もが飛んで曲がらないドライバーを手に入れることができるということだ。
ちなみにAi スマート フェースは、慣性モーメントやギア効果までを凌駕するような効果があるという。まずは、クラブの基本性能を知るべく、ゴルフライターの鶴原さんに4モデルを試打評価してもらった。
MAX/前作よりもさらに曲がりづらい強弾道!球のつかまえやすさも向上
鶴原さんは、スタンダードモデルと位置付けられているMAXで数発打ってみて“弾道の一貫性”に驚いたという。
「弾道の特性でいうと、打ち出し角が高めでスピン量はかなり少なく、直進性が高い。オートマチックに強弾道でまっすぐに飛ばしやすい。特長は、なんといっても弾道が安定するところ。特に毎ショットでスピン量があまり変わらないことに驚きました。スイングのブレや打点のズレがあっても、毎回同じような弾道で飛ばせるのが魅力です」
一般的に低スピンで強弾道を打ちやすいドライバーは、上級者向けのヘッド性能になっていて打ちこなすのが難しいモデルが多い。その点でいうとMAXはかなり寛容性が高く、やさしく打てるそうだ。
「前シリーズのパラダイム ドライバーも直進性が高いモデルでしたが、ヘッド後方側が重すぎるように感じられ、球をつかまえづらいのが難点でした。今作では適度に球をつかまえやすくなっているし、ヘッドの振り抜き感も軽快です。ここも進化しているポイントですね」
鶴原さんによると、ヘッドの挙動がニュートラルなので、ドローヒッター、フェードヒッターともに持ち球をいかしながら、ミスなくまっすぐに飛ばしやすいモデルという。
「標準シャフトのフレックスSだと、推奨ヘッドスピードは43m/s前後。ロースピンのドライバーなので、もともとのスピン量が少ない人はロフト角10.5度にしておくほうが良さそうです」