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新製品レポート

例えるならば…今回の10Kは“MAX LS” 低スピンで飛ぶぞ! テーラーメイド「Qi35 MAX」試打

1月に正式発表されたテーラーメイド「Qi35」。PGAツアー開幕戦「ザ・セントリー」から、コリン・モリカワをはじめとするトップ選手が続々と実戦投入して話題となっている。ドライバー4機種のうち、昨年テーラーメイド初の10Kドライバー(※慣性モーメント10000g・cm2)として注目を浴びた「Qi10 MAX」の後継モデル、「Qi35 MAX」を紹介したい。その特徴をギアの知識が豊富なミタさんが解説。飛距離性能、弾道、打感はアスリートゴルファーのコウタロウ(HS50m/s)とベテランゴルファーのシオさん(HS40m/s)が試打し、分析した。

後方のウエートは34g! 重心を下げて低スピンエリアを拡大

【ミタさん】
今回紹介するのは10K時代をリードするドライバーのひとつ「Qi35 MAX」です。

【シオさん】
昨年の「Qi10 MAX」も慣性モーメントが10000g・cm2以上でしたけど、何が変わったのですか?

【ミタさん】
一番の進化は重心ポジションです。今回はテーラーメイドが得意とする複数の素材を最適な位置に設計する構造によって重心を下げました

【シオさん】
複数の素材とは?

【ミタさん】
カーボン、チタン、スチール、アルミニウム、タングステンなどです。マルチマテリアル構造というのですが、かつての「M1/M2シリーズ」の「M」もマルチマテリアルの頭文字でした。

【コウタロウ】
構造はすごそうだけど、重心を下げるとそんなに良いことあるんですか?

【ミタさん】
ドライバーはセンターヒットしたときが一番飛びますが、打点を外したときでも重心より高い位置(有効打点エリア)で打ったほうが打ち出しも高く、スピン量も抑えられて、飛距離が落ちにくい

【コウタロウ】
たしかに、フェースのちょっと上に当たったときは棒球で飛びますね。

【ミタさん】
あの棒球がまさに有効打点エリアで打った弾道です。でも、一般的にドライバーの重心はフェースセンターより上にあるので、有効打点エリアで打てるスペースが狭い。「Qi35」は重心を下げることによって、このエリアを広げています

【シオさん】
どうやって重心を下げたんですか?

【ミタさん】
ヘッド後方の一番低い位置に34グラムのウエートをつけました。ヘッド全体の重量が約200グラムなので、かなりの割合です。

【コウタロウ】
他の部分はどうやって軽くしたんですか?

【ミタさん】
ドライバーのヘッドで一番重いのはフェースですけど、テーラーメイドはカーボンフェースを採用しているのでチタンフェースに比べると約20グラムも軽い。クラウンやソールにもカーボン素材を使うことで徹底的に軽量化。その重量を後方の34グラムにもってきました。

歴代カーボンフェースで打感はNo.1。「MAX LS」系!?

【シオさん】
形状は、いかにも10Kという雰囲気の大型ヘッドですね。

【コウタロウ】
ヘッドは大きいですけど、デザインはすごくカッコイイ。

【ミタさん】
打った印象はどうですか?

【シオさん】
慣性モーメントが大きいのに操作性が良い。「Qi10 MAX」はインパクトゾーンでズドーンと真っすぐにしか動かない感覚でした。「Qi35 MAX」も基本は真っすぐですけど、ハーフウェイダウンからインパクトにかけて自分の感覚でフェースを戻せる感じがあります。

【ミタさん】
「Qi10 MAX」よりシャフトが0.25インチ短くなって、45.25インチになったことが操作性につながったのかも知れませんね。

【シオさん】
ただ、スピンは少ないので私のようなロースピンヒッターには厳しい。スピン量が多くて悩んでいるアマチュアとは相性が良いと思います。勝手にモデル名をつけるなら「MAX」というより「MAX LS」という印象でした。

【ミタさん】
なるほど。比較的ボールが上がりやすいMAXモデルですが、スピン量は確認したほうが良さそうですね。

【ミタさん】
コウタロウはどうでした?

【コウタロウ】
僕の場合、シャフトの影響もあるかと思いますが、高慣性モーメントヘッド特有のインパクト付近でヘッドがアッパーに動く感じがありました。そのため、フェースのやや下めで当たることもあったのですが、スピン量は2500回転前後で収まりました。他社のMAX系ドライバーよりスピン量は少なめだと思います。

【ミタさん】
打感とかつかまりはどうでした?

【コウタロウ】
打感は今までのカーボンフェースで一番好き。弾き感が心地良くて、チタンフェースよりイイかも。つかまりもドローバイアスというほどではないけど、適度につかまる程度。高慣性モーメントのドライバーは右方向のプッシュアウトが怖いけど、そのミスは出なさそう。

【ミタさん】
「Qi35 MAX」は10Kのドライバーでありながら、スピン量を抑えているのが特徴。ヘッドスピード42m/s前後でスピン量が多いタイプはもちろん、ヘッドスピードが45m/s前後のゴルファーでも高打ち出し・低スピンの弾道で飛ばせると思います。「Qi10 MAX」に比べると「振りにくさ」「つかまりにくさ」を解消しているので、今まで高慣性モーメント系のドライバーが苦手だった人も使える可能性があります。

【コウタロウ】
「Qi35 コア」が「MAX」寄りになりましたが、やっぱり「MAX」のほうがつかまります。

まとめ

■ 試打したクラブのスペック

テーラーメイド Qi35 MAX ドライバー
●ロフト角:10.5度(写真は9度) ●シャフト: ディアマナブルー TM50 ●硬さ:S

■ マイクラブ情報

シオさん:ピン G430 SFT ドライバー
●ロフト角:10.5度 ●シャフト:NSプロ レジオ フォーミュラ MB+ 55 ●硬さ:S

コウタロウ:ヤマハ RMX VD/X ドライバー
●ロフト角:9.5度 ●シャフト:VENTUS TR RED(ベンタス ティーアール レッド) 6 ●硬さ:X

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ミタさん プロフィール

1978年生まれ。かつてのサッカー少年が父の影響でゴルフを始めたのは高校生のとき。2014年にゴルフテックに入社し、レッスンコーチ兼クラブフィッターとして活躍した。現在はギア知識を活かして、コンテンツの企画を担当。洋服や車など好きな「モノ」への探求心が人一倍強く、作り手の素材や製法へのこだわりが大好物。デニムやスニーカーへの知識も豊富。

コウタロウ プロフィール

1985年生まれ。「日本一の漫才師」を夢見た幼少期を経て、学生時代はゴルフに没頭。日本アマなどに出場した。日本プロゴルフ協会(PGA)ティーチングライセンスを取得した2012年にゴルフテックに入社。長年、レッスンコーチを務めていたが、現在はコンテンツに出たり、作ったりしている。ヘッドスピードは50m/s前後。持ち球はフェード。最近は四十肩との付き合い方を模索中。

シオさん プロフィール

1967年生まれ。GDOでは古参の編集部員。若い頃は小ぶりヘッドのドライバーとマッスルバックのアイアンを愛用していたが、近年ではミスに強く、飛ばせるギアを好んで使用している。ヘッドスピードは40m/s前後。ミドルアイアンでグリーンに止まる球が打てないことが最近の悩み。持ち球は低めのドロー。平均スコアは80くらい。

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