「前から使ってみたかったんだよね」タイトリストのUT 中古から始めてみよう
タイトリストのユーティリティ(以下UT)はツアープロに根強い人気があり、契約外の選手にも愛用者が多い。老舗のブランドイメージからも、アマチュアには使いこなせないのでは…と思いがちだ。アベレージゴルファーも使える良品を中古ショップから紹介しよう。
タイトリストのUT 知名度が“もうひとつ”な理由
国内女子ツアーではキャディバッグにウッド型UTを複数入れる選手が目立つが、男子では本数がぐっと減る。彼らはヘッドスピードが速く、ロングアイアンでも球を上げられるので、ウッド型UTを必要としていないという事情もある。また、ウッド型UTが目立ちにくいのは、欧米ツアーで使用選手が少ない事実も理由に挙げられそうだ。中でもタイトリストは、ウッド型UTを初めて発売したのが2007年と、他メーカーに比べてかなり遅かったこともあり、同社の他のクラブに比べると印象が少々薄い。
タイトリストのウッド型UTの歴史
最初に出たのが「PT585H」(2007年)。硬派なタイトリストがついにウッド型UTを発売したと話題になった。その後「909H」(2009年)もヒットを記録。どちらもウッド型UTを避けてきた上級者を含めて多くのゴルファーが使用した。そして、2011年に投入された日本限定モデル「VG3シリーズ」はタイトリストの硬派なイメージを一新したモデルで2012年、2014年、2016年、2018年とモデルチェンジを重ねた。
グローバルモデルの「909H」の後継として、2011年に可変スリーブを採用した「910H」を発売した。その後も進化を重ねて2019年にはウッドの名称と特性に合わせた「TS2」「TS3」に。2021年の「TSi2」、「TSi3」に加え、「VG3」に代わる「TSi1」も追加。2023年には「TSR1」、「TSR2」、「TSR3」へと繋がっていった。
男子プロに人気のタイトリストのウッド型UTは?
男子のツアープロは、ボールの上がりやすさやつかまりの良さよりもアイアンに近い操作性を求める選手が多い。今平周吾が長年使ってきたのが「910H」(2011年)。ヘッドサイズは大きめでやさしそうに見えるが、寛容性より操作性の高さが魅力。ボールの食いつき感が抜群で、十分なヘッドスピードがあれば、しっかりスピンが入る。中古市場では1万円を切る。
米ツアーではジョーダン・スピースがウッド型UTを愛用。2018年に中空構造のロングアイアンを抜いて「818H2」(2017年)に変更し2021年まで使用した。アイアン感覚で打ちやすい。1万円前後が相場だ。
2022年には「TS2」(2019年)に変更。こちらは「818H2」より寛容性があり、操作性も両立させたモデル。こちらは1万円台中盤から見つかる。昨年途中から変更した「TSi2」(2021年)は復活優勝を飾ったカミロ・ビジェガス(コロンビア)もバッグに入れていた。2万円台前半で見つかるだろう。
女子プロが替えるに替えられないタイトのUTは?
日本限定モデルとしてやさしく打てると人気だったのが2010年に発売されたVG3のUT。アマチュアゴルファーだけでなく国内女子ツアーで人気があった。他モデルよりも割安感があるのが魅力。2016年モデルは1万円以下、2018年モデルは1万円前半から見つかる。
一方で上田桃子が昨季中盤戦まで使用し、菊地絵理香が長らく愛用の「816H1」(2015年)は発売から9年近く経つが人気は健在だ。ヘッドサイズが大きく、ボールが上がりやすく、そしてつかまりも悪くない。イマドキのUTは低スピン、高打ち出しをうたうものが多いが、適度なスピンが入ることでグリーンにしっかり止められる。ロフトバリエーションも多く。オフセットがやや少ないので構えやすいのだろう。1万円前後で見つかるが、ロフト角が大きい25度、27度はかなりレアだ。
アイアン型UTも構えやすく魅力があるが、寛容性はウッド型UTが上回る。操作性と寛容性とを、プロをも好むような絶妙なさじ加減で兼ね備えているのがタイトリストのUTだ。タイトのUTの入門としては、寛容性により注力したモデルにも注目してほしい。ほとんどが可変スリーブと可変ウエートが採用されているため、カスタマイズの幅が広く、純正シャフトも選択肢が多くて安価で手に入れられるケースが多いのだ。やさしいモデルも決して少なくないタイトリストのUTに目を向けてみては。(文・田島基晴)
田島基晴 プロフィール
1963年生まれ。ゴルフギア好きが高じて、地元広島に中古ショップ「レプトン」のゴルフ部門を設立。現在は店舗で得たギア知識を活かし、ゴルフライターとして活躍。YouTube動画の企画編集やブログ執筆など活動は多岐にわたる。
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