90切りには“90切りのアイアン”がある「背伸びしたらアカン!」自戒込みのギアマニア中古5選
100切りは意外と困らなかったけれど、90の壁をなかなか越えられない――。そう悩むゴルファーは少なくない。80台、70台を一気に狙って、道具もマネジメントも無理をしていないだろうか?今回は90切りゴルファーが陥りやすいアイアン選びの難しさを自戒の念も込めて解説していこう。
「90切り」にツアーモデルは必要ない
90台のスコアが出るようになると、たまにバーディを獲れるようになったり、周りを驚かせたりするショットも増えてくる。アイアンはマッスルバックや、小ぶりなキャビティタイプを試打するなど、そこそこ打てる力も付いている。男子のツアープロが使うようなアイアンに買い替えてしまおうという衝動が湧いてきてもおかしくない。
いったん、冷静になろう。90を切るためにはパー4の2打目をピンそばにつけ続ける必要はない。正直言って、アイアンは100切りを達成したモデルと同じでも構わない。縦距離が変わってしまう“超飛び系”アイアン(7番のロフト角が25~26度)や、芯の狭いマッスルバック、小ぶりなキャビティにスイッチすることは危険だ。
飛び系アイアンは飛距離が魅力的な反面、構造上スピンが入りにくく、グリーンで球が止まりにくい。「もう少し飛べばラクに90を切れる」という幻想は捨てよう。また、80台を目指すならプロが使うような難しいアイアンを使ってボールを曲げて攻める理由もない。
基本的には打感の良さよりも、慣性モーメントが高く、打点がブレても結果がそろうモデルを最優先で選ぶべき。打感をどうしても諦められないなら“コンボ化”する手はある。PWから8番、もしくは9番までは軟鉄鍛造アイアン、それよりも長いアイアンはヘッドサイズの大きいキャビティに。基本的には同じモデルでセットをそろえた方が再現性は高い。
参考にすべきは女子プロゴルファーの選択
ストロング化が進んでいるが、ロフト角は7番で30~32度、飛距離が不足している場合も28度程度までをオススメする。適度なスピンが入り、グリーンで止められる高さを出せるモデルが再現性を保ちやすい。ロフト、ライ角は調整できるモデルがいいだろう。自身の体型やアドレスに合わせるためだ。合わないクラブは、スイングに悪影響を及ぼす。
一般的な男性アマチュアのドライバーショットのヘッドスピードは38~42m/s前後。女子プロのセッティングこそ90切りの参考になる。国内女子ツアーではアイアンの本数を減らして、ウッド型UTを増やす選手が急増中。5番アイアンどころか6番を抜くケースも珍しくなくなった。ただし、練習で5番を使うのは上達に繋がるだろう。
中古市場で狙うべき80台へのアイアン5選
1.PING i210(2018年) (7番のロフト角=33度)
ステンレス製だがフェース裏のインサートにより打感もマイルド。ツアープロも使用しているが、ミスへの強さと縦距離のそろい方はピカイチだ。ピン独自のカラーコードでライ角も選べる点も見逃せない。90切りを目指すなら第一候補に挙がる。予算があるならi230(2023年)も良いだろう。
2. スリクソン ZX5(2020年)/ZX5 Mk II(2022年) (31度)
国内女子ツアーで使用率が高いモデル。軟鉄鍛造ボディで、フェースがバネ鋼を使ったポケットキャビティ構造。ZX7シリーズの打感にこだわりたい気持ちはわかるが、ミスヒットへの寛容性が非常に高いZX5がオススメ。顔の良さと易しさのバランスが抜群で、スイングを素直に育ててくれる。予算があればZXi5(2024年)でもいい。この3つのモデルの性能差はかなり少ない。
3. ブリヂストン 258CBP(2025年) (30度)
打感の良い221CB(2022年)や242CB+(2024年)に行きたい気持ちはわかるが、深いキャビティとソール幅と低重心設計により、薄い当たりのミスヒットでもしっかり球が上がってくれるやさしさを優先したい。ニュートラルでクセのない挙動が魅力だ。221CBと242CB+と組み合わせたコンボアイアンも中古で見かけるので、それを狙うのも手だ。
4. キャロウェイ X FORGED STAR (2024) (29度)
単一素材の軟鉄鍛造モデルの中ではヘッドサイズが大きめで、適度な寛容性を備える。しっかりスピンが入りグリーンを狙える。ロフト角が大きい(7番:33度)のX FORGEDもオススメだ。90切りを狙うなら寛容性は少し心もとないが、長く使える名器かと思う。
5. テーラーメイド P790 (2021) (30.5度)
シャープでカッコいい見た目を持ちながら、中空ヘッドに複雑な内部構造を備えているので、非常にやさしく球が上がる。ミスへの強さを確保しつつ、所有感も満たしてくれるモデルだ。寛容性に関しては過去モデルでもさほど変わらないが、モデルが新しければ新しいほど打感は改善している。
90切りを達成するためには、アイアンを嗜好品としてではなく、徹底的に「好スコアを出すための道具」として割り切ることが近道である。とはいえ、打感にも見た目にもこだわる姿勢はギアマニアとして譲りたくないポイントだ。いずれにしても、無理をしないことが大切だ。スマートにプレーできる範囲で、楽しみながら選ぼう。(文・田島基晴)
田島基晴 プロフィール
1963年生まれ。ゴルフギア好きが高じて、地元広島に中古ショップ「レプトン」のゴルフ部門を設立。現在は店舗で得たギア知識を活かし、ゴルフライターとして活躍。YouTube動画の企画編集やブログ執筆など活動は多岐にわたる。