「ドライバーの賞味期限は?」10年前のモデルでも飛ぶのか ギアマニア考
2024/11/08
競技でもない限り、ゴルフはいつ製造されたクラブでもプレーできる。そうは言っても、あまりに古いクラブではベストスコアをなかなか更新できないのも事実。今回は中古ショップで「ドライバーの賞味期限」についてギアマニアが考えてみた。
メーカーはルールと“にらめっこ”
そもそもクラブはゴルフ規則に沿って作られる。R&Aによってフェースの反発が規制された2008年以降のドライバーは、基本的にルールをクリアしたものばかりで、「クラブヘッドの体積は460㏄まで」、「慣性モーメントコンポーネントは5900 g・cm2まで」、「ペンデュラムテストプロトコルに定められているスプリング効果の制限(フェースの反発規制)」という3つの条件を満たしたものだ。
2004年の規則緩和により、可変ウエートを搭載したドライバーが認められ、実際に2009年から発売された。メーカー各社はこういったルールの“ギリギリを攻めて”、新製品の製造に日々、力を注いでいるのだ。
トッププロが愛する中古でしか手に入らないドライバー
そう考えると、中古ショップで、できるだけ安く手に入れようとするにも、筆者はやはり2009年以降のモデルをおススメしたい。昨今のプロツアーで古いモデルを使っていた代表格が10月の「日本オープン」で優勝した今平周吾。ここ数年、契約先のヤマハの最新モデルを握ってきたが、ナショナルオープンではハードなコースセッティングを考慮して、長い相棒である「RMX 116」に戻した。こちらは2015年発売で、10年近く経っても愛されているというわけだ。
同じ男子ツアー「ACNチャンピオンシップ」で通算7勝目を飾った金谷拓実も、いつでも最新モデルを握れる一流プレーヤーにしては少々古いドライバーを握っている。「G410 PLUS」(2019年)は、発売から5年経過しても人気が高い。2万円台後半が相場で、1年半後に発売された後継モデルの「G425 MAX」(2020年)と同じぐらいの価格で推移している。
まだまだ使える 筆者が勧めたい“年代物”
日本トップのシニアアマが今でも使う歴史的名器がテーラーメイド「グローレ」(2012年)だ。住友ゴム工業(ダンロップ)のモンスターブランド「ゼクシオ」に対抗すべく、アジア限定で発売されたモデル。国内女子ツアーやシニアツアーの選手がこぞって使用し、高く評価されたのが発売してから少し後だったため、中古ショップで大人気になった。現在は5000円前後で見つかるだろう。ボールがつかまり、ミスに強く、アベレージゴルファーには打ってつけ。可変スリーブが現行モデルと違うのが唯一の弱点だろう。
キャロウェイ「エピック フラッシュ サブゼロ」(2019年)は、飛距離性能の高さで話題になった。後ろのウエートを外して、さらに浅重心化して低スピンと飛ばす方法も流行った。ヘッドの挙動はシビアだが、今でも飛距離性能はトップクラス。約1万5000円から見つかる。
賞味期限が今後、長そうなモデル
もう少し新しく、今後も長く使えそうなモデルもコスパ重視で探した。テーラーメイド「ステルスHD」(2022年)はどうだろう。「ステルス」よりも球のつかまりがよく、低スピンで飛距離性能が高い。価格も1万円台後半からだ。キャロウェイ「エピックMAX」(2021年)はミスヒットにも強い。1万円台中盤でも見つかるだろう。
テーラーメイド「SIM2 MAX」(2021年)は同社の“最後”のチタンフェースドライバー。チタンのカップフェースをアルミのフレームで囲み、カーボンで包むという非常に凝った構造で注目された。翌年発売の「ステルス」(2022年)よりも中古では高値で推移して2万円台後半が相場。今のところ高価だが、歴史に刻まれる名器だと思う。
ちなみにプロツアーを楽しんでいると、「プラス」や「トリプルダイヤモンド」といったアスリート向けモデルに目が行きがちだが、安定して性能を発揮できるモデルをオススメしたい。
ドライバーづくりはルールで規制されており、進化の歴史は「飛び」「やさしさ」「操作のしやすさ」という、それぞれが矛盾した要素をいかにバランスよく盛り込むかということに、開発者たちは知恵を絞っている。それぞれのゴルファーが、自分が何を重視したいかを理解していれば、コスパ良くドライバー選びができるだろう。「最新が最善」とは決して言い切れないのだ。(文・田島基晴)
田島基晴 プロフィール
1963年生まれ。ゴルフギア好きが高じて、地元広島に中古ショップ「レプトン」のゴルフ部門を設立。現在は店舗で得たギア知識を活かし、ゴルフライターとして活躍。YouTube動画の企画編集やブログ執筆など活動は多岐にわたる。
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