リシャフトブームの火付け役「ディアマナ」のお勉強 “しなりの系譜”を中古で探る
1990年代の終わりから2000年代初頭に、リシャフトという言葉がゴルフギアのマニアの間で定着した。きっかけとなったのが、藤倉コンポジットの「スピーダー」と三菱ケミカルの「ディアマナ」シリーズ。今回は4月に復活したディアマナ スティンガーの登場に合わせ、リシャフトブームの歴史を紐解いてみよう。
リシャフトブームの歴史をおさらい
リシャフトというチューニングはゴルフクラブの変化と連動して認知度を上げた。ヘッドがパーシモンだった時代は、リシャフト自体の難易度が高かったが、素材がメタルになり、アイアンと同じようにシャフトの装着部分を熱して接着剤を溶かすことで、シャフトを手軽に抜けるようになった。
加えてカーボンシャフトの精度が向上し、メタル+カーボンという組み合わせが一般的となる。その後、チタン時代となりギアマニアが米ツアーの選手を真似て、「グレートビッグバーサ」や「975D」にトゥルーテンパー「EI70」などを組み合わせるのがブームになった。
さらに「スピーダー757」、「661」といった日本の高価格帯のプレミアムシャフトが話題となり、2004年に初代ディアマナスティンガーが限定で登場。初代シリーズが同じ年にリリースされた。
スチールシャフトを愛用したタイガー・ウッズをはじめとする米ツアーのトッププロが、こぞって1本数万円もする「プレミアムシャフト」を装着し始めた。その先駆けがディアマナである。高級感のあるイオンプレーティング塗装にサーフボードと花びらを纏ったデザイン。安定性と飛距離を両立して人気を博した。その後はメーカーが純正シャフト以外にシャフトメーカーの主力シャフトを装着する“メーカーカスタム”も定着。2009年のルール変更で可変スリーブを装着した1Wが登場し“カチャカチャ”が一般化した。
カラーで見分ける「特性」の元祖
現代では当たり前となったシャフトの「色による特性分け」を定着させたのはディアマナの功績である。中古ショップの棚を彩る歴代モデルを、色別に整理する。
青(ブルーボード):王道の「中元調子」。 適度なしなりと弾きを両立したシリーズの顔。初代(通称・青マナ)から「カイリ」「B」「BF」「TB」と進化し、現行の「BB」はクセのない素直な性格から「迷ったら青」と言われるほど多くのプレーヤーに愛されてきた。
白(ホワイトボード):左を嫌う「元調子」。手元側のしなりを強調し、先端を極限まで硬くしたハードヒッター向け。タイガーが愛した初代(白マナ)の系譜は、「アヒナ」「W」「DF」「PD」へと引き継がれ現行は「WB」。今なお叩けるアスリートモデルの象徴である。
赤(レッドボード):つかまりと高弾道の「先中調子」。先端の加速感でボールをつかまえ、高弾道を実現する。「赤マナ」から「イリマ」「R」「RF」へと続き「RB」へ。適度につかまり高弾道で根強い人気を誇る。手元のしなり感もあるので、ダブルキックっぽいシャフトと言っていいだろう。
どこにも属さないモデルもある。高級素材をふんだんに使った「X」はスピード感があるシャフト。白マナ系だが剛性感を高めた「D-Limited」はタイガー・ウッズがフェアウェイウッドに入れていた。「ZF」、「GT」は手元がクイッとしなり、中間部の剛性を抑え先端はしっかりして、節度のあるつかまりが特徴だ。
中古で狙うべき「ディアマナ」の鉄板モデル
現行モデルの「BB」(2024年)は「青マナ」の集大成とも言えるモデル。先端に航空宇宙グレードの素材を採用し、ミスへの強さとスムーズな加速感を高い次元で両立している。現代の大型ヘッドとも相性が良い。
「ディアマナ D-Limited」(2020年)は「白マナ」系に高級素材を投入したもの。手元の粘り感はそのままに、先端の強さをさらに強化した。左へのミスを極限まで抑えたいドローヒッターにとって、これほど信頼できる中古シャフトは他にない。タイガーの必殺技スティンガーショットを打ちたい人にオススメだ。
「ディアマナGT」(2022年)はディアマナを体験したいリシャフト初心者にオススメしたい。手元がほどよくしなり、スピード感は抑えているが先端もしっかりしていて安心してドローが打てる。オートマチックに振り切れるシャフトだ。
スリーブ付き中古シャフト購入時の「マニアの注意点」
ディアマナのような人気シャフトを中古で買う際、見落としがちなチェックポイントがある。まずは「チップカット」の有無を確認すること。プロやハードヒッターが、先端をさらに硬くするためにカットして装着している場合がある。基準の長さ(スリーブ先端までの距離)を事前に調べ、不自然に短いものは避けるのが賢明。具体的には先端のロゴと最先端までの長さを他のシャフトと比較してみよう。
スリーブの互換性と「挿し込み」の精度にも注意したい。中古スリーブ装着品は、メーカーによって互換性が異なるのは当然だが、装着の仕上げ(接着剤のはみ出しやソケットの浮き。塗装のハゲ)が雑なものは、以前の持ち主が個人で作業した可能性や、シャフトを再利用している可能性がある。メーカーのカスタムであるシールが貼ってあるシャフトを選ぶ、もしくは先端部をしっかりチェックして購入しよう。
2004年に始まった“ディアマナ伝説”は、最新の「スティンガー」へと繋がっている。ディアマナのロゴに刻まれたハワイアンレイ(花の飾り)とサーフボードだけでも気分が上がる。最新の新作シャフトを追うのも良いが、中古ショップでかつて憧れた「青マナ」や「白マナ」の譜系に触れて欲しい。そこには、現代のハイテクシャフトの礎となった、完成された「しなりの美学」が今も息づいている。(文・田島基晴)
田島基晴 プロフィール
1963年生まれ。ゴルフギア好きが高じて、地元広島に中古ショップ「レプトン」のゴルフ部門を設立。現在は店舗で得たギア知識を活かし、ゴルフライターとして活躍。YouTube動画の企画編集やブログ執筆など活動は多岐にわたる。