「G440K」が出た今こそ…中古で「G」シリーズ名機レビュー10年史/ピン編
1月14日、ピンが「G440 K ドライバー」を発表した。2025年度は「G440」シリーズの売れ行きが好調だった。本国での人気に続いて、日本ではこの10年で一気にトップブランドになった同社の快進撃を支えた名機を紹介していこう。
ピンの変わらぬ設計思想とは
エンジニアだったピンの創業者カーステン・ソルンハイム氏の設計思想は現実主義にある。ゴルファーは芯を外すのが当たり前で、スイングも毎回、同じというわけにはいかない。その発想をもとに、数々の歴史的なクラブを生んできた。1980年代に生まれた「EYE2ドライバー」は木製ながら当時としてはヘッドが大きく、深い重心を実現。一発の飛距離よりも、平均飛距離と安定性を重視したクラブだった。
ピンのドライバー その歴史をおさらい
ピンのドライバーの認知度が高まったのは2011年発売の「G20」によるところが大きい。深く、低い重心で飛距離と寛容性アップを狙った。2013年の「G25」は可変スリーブを搭載。2015年「G30」以降はスタンダードモデル、低スピンのLS TEC、つかまりやすいSF TECの3モデル体制となった。
2016年にはズバリ「G」、2017年には「G400」をリリース。2018年には慣性モーメントのルールギリギリに迫った「G400 MAX」を発売した。このころから、ツアー選手を中心にアスリートも使うモデルとなる。
2019年の「G410」シリーズは日本のトッププロが多く使用した。渋野日向子が「全英女子オープン」でメジャー制覇を遂げ、鈴木愛が国内ツアーの賞金女王に。金谷拓実はアマチュアとして「三井住友VISA太平洋マスターズ」で勝った。
2020年「G425」、2022年「G430」で軽量のHLモデルを追加。2024年には縦+横方向の慣性モーメントが1万g・cm2を超える「G430 MAX 10K」が注目され、2025年「G440」シリーズの大ヒットにもつながった。
スタンダードモデルの傾向と対策
シリーズの中でも最も人気なのが、多くのゴルファーを対象にしたスタンダードモデルと呼べるもの。「G400」(2017年)、「G410 PLUS」(2019年)、「G425 MAX」(2020年)は、状態が同じなら中古の価格差がほとんどない。G400は少しコンパクトに見えるサイズ感と数の少なさからマニアに人気。G410 PLUSの価格も落ち着いてきた。G425 MAXは打感や打音に難色を示す人もいたが、“風評被害”と言っていい。どのモデルも純正シャフトなら2万円前後から見つかる。「G430 MAX」、「G440 MAX」は曲がらず飛距離性能も申し分ない。
ひとつ注意したいのが、スタンダードモデルはミスヒットへの強さを追求しすぎた結果、一部のゴルファーには扱いにくいことがある。重心が長く、深く、慣性モーメントも大きいため、一度フェースが開くと閉じにくい。合わないスライサーもいる。
LSTは上級者用…というわけではない
LST(LS TEC)は低スピン弾道を打ちやすくしたモデル。ツアープロが使うものがLSTというわけではない。プロモデルとして位置付けていないので、スタンダードモデルとも価格差がほとんどなく、数が少ないわけでもない。「左へのミスが怖いけれど、寛容性も欲しい」というドローヒッターもぜひ試してほしい。しかしながら、スライサーにはやはり向かないだろう。
SFT=他社のスタンダードモデルかも?
そこで、右へのミスが多いゴルファーに薦めたいのがSFT(SF TEC)である。スライサーがドローを打てるようになるというほどではないが…。筆者は「他メーカーのスタンダードモデルがSFTと同じぐらいでは」と考えている。
「G430」からHLというモデルが追加された。ハイローンチ(高弾道)の意味で、「ピンのドライバーは重く、扱いにくい」というゴルファーのために追加されたモデルだ。ヘッド後部のウエートが軽く、低スピンとなるというのも面白い。ピンは純正シャフトの重さ、硬さ、種類も豊富だが、HLで選べるシャフトは限定されている。
慣性モーメント重視の10Kモデルの注意点
スタンダードモデルでも大きな慣性モーメントにさらに注力したモデルがある。「G430 MAX 10K」だ。2025年の国内ツアー年間女王・佐久間朱莉が使用した。先日発売された「G440K」は後継と言えるだろう。4万円台後半から見つかる。HLも同じぐらいの価格だ。
「G400 MAX」(2018年)もこのカテゴリーに入れたい逸品。大槻智春が2025年シーズン前半まで使い続けた。数が少なく高価で取引されていたが、現在は2万円前半から探せるはずだ。
筆者も「G440K」を試打させてもらった。正直言って、ことしも“ピンの年”になりそうな予感がする。それほど、今作もやさしく飛ばせるドライバーだという印象を持った。インパクトでのフェースの開きを抑えれば、非常に扱いやすい。ボールが上がりやすいので、ロフト角を慎重に選んで飛距離を伸ばそう。ピンはかねて純正シャフトも豊富。アマチュア目線を忘れない哲学を持つクラブを楽しんで欲しい。(文・田島基晴)