クラブは“顔”が命! 2022秋の最新ドライバーを見比べ隊
ひと目ぼれする1Wは? 人気モデル12本を解説
スピードパフォーマンスを求めるブランドから、ブレずに飛ばすブランドまで、話題の最新作が出そろった今秋のドライバー市場。革新的なテクノロジーが注目される一方、アドレス時に上から見た際の“顔”で選びたい!という声が多いのも事実だ。ということで、クラブ設計家・松尾好員氏の解説付きで、最新モデル12本を並べてみた。
スタンダード感が増した「TSR2」
タイトリスト「TSR2 ドライバー」は、全体的に丸型で、横幅が広めの「2」シリーズの中で、前作「TSi2」より横幅が狭く、スタンダードな形状に進化しています。強めのオープンフェースで、球をつかまえ過ぎないイメージが湧きます。オーソドックス感が増した点は、米男子ツアーでのスイッチがスムーズにいっている要因ともいえます。
前作よりも横幅が締まった「TSR3」
タイトリスト「TSR3 ドライバー」は、米国人が好む洋ナシ型「3」シリーズの中で、前作「TSi3」より横幅が狭く、1~2時方向の張り出し感があることで、縦長な形状が強調されています。「TSR2」同様に強いオープンフェースで、トウ側には逃げ感がありつつ、後方の低いシャローバックで、アッパー軌道に適した形状となっています。
タイトならではの小顔ヘッド「TSR4」
タイトリスト「TSR4 ドライバー」は、操作性の良い小ぶりな「4」シリーズを継承。強めのオープンフェースで、トウ側には逃げ感があります。小ぶりなヘッドなので、やや低めのティアップで打ちたい人や、操作性の良さを生かしてインテンショナルにドローorフェードを打ち分けたいゴルファーに向いています。
前作よりも上げやすさUP!「ステルス グローレ」
テーラーメイド「ステルス グローレ ドライバー」は、前作「SIM グローレ」を継承し、12時方向に張り出した縦長形状。違う部分は、オープンフェースに設定された点。トウ側が高く、アップライト感が強調されています。FP値(※)が大きく、リアルロフトも「SIM グローレ」より大きいため、球が上がりやすいイメージが湧きます。
※FP:フェースプログレッション。シャフトの中心線とリーディングエッジの距離を表した数値
オーソドックス化したのにつかまり感キープ「DRIVESTAR」
ヤマハ「インプレス DRIVESTAR ドライバー」は、前作「UD+2」「RMX VD59」の個性的な形状から一転、オーソドックスに変わりました。FP値が大きく、ややフックフェース&バルジのない平らなフェース面により、球が上がってつかまるイメージ。後方が非常に低いシャローバックで、アッパー軌道にマッチするヘッドとなっています。
米国製では珍しいやさしい1W「ビッグバーサ」
キャロウェイ「グレート ビッグバーサ ドライバー」は、「ローグ ST MAX」に似た横幅が非常に広い形状。米国製にしては珍しい強めのフックフェース、小さいFP値と4~5時方向の張り出し感で、球のつかまりやすさが伝わります。後方がとても低いシャローバック&大きなリアルロフトで、上げやすさも伝わるやさしい雰囲気です。
“MAX”なのにつかまり過ぎない「G430 MAX」
ピン「G430 MAX ドライバー」は、横幅の広い同社の特徴を踏まえた形状。全体が三角形に見え、しかもオープンフェースなので、球がつかまり過ぎないイメージが湧きます。前作「G425 MAX」よりリアルロフトが大きく、球を上げやすい雰囲気。ソール面の剛性が高くなり、前作より音が引き締まったことが大きな変化といえます。
Gシリーズのフェード系担当「G430 LST」
ピン「G430 LST ドライバー」は、同シリーズ他2モデル(「MAX」「SFT」)より横幅が狭く、やや縦長形状が特徴です。より強いオープンフェースで、しかもライ角がフラットなため、球がつかまり過ぎないイメージが増大。「MAX」「SFT」よりリアルロフトは小さく、中弾道フェードが打ちやすい構造に仕上がっています。
見た目も性能もつかまり重視「G430 SFT」
ピン「G430 SFT ドライバー」は、「MAX」と同じ全体のシルエットですが、「MAX」「LST」よりも少しフックフェース設定で、球がつかまるイメージが湧きます。ヒール寄りの重心設定も、「MAX」以上のつかまりやすさを演出。後方が低いシャローバック形状で、アッパーブローのスイングにマッチする印象も受けます。
前作とは真逆のハイバック構造「ZX5 Mk II」
ダンロップ「スリクソン ZX5 Mk II ドライバー」は、横幅が広めのオーソドックスな形状。オープンフェースの設定で、トウ側に逃げ感が出ています。前作「ZX5」は、後方が低いシャローバック形状でしたが、今作は逆に後方が高いハイバック形状に変わり、レベルブローにスイングしやすい形となっています。
顔はZX5 Mk IIのままLS要素は隠し味「ZX5 Mk II LS」
ダンロップ「スリクソン ZX5 Mk II LS ドライバー」は、輪郭形状は「ZX5 Mk II」とほぼ同じですが、よりオープンフェースになっているのが特徴。ソール面の8gのウエイトがフェース寄りに位置していて、「ZX5 Mk II」より重心深度が浅く、結果的にスイートスポットが少し低くなることで、低スピン弾道が出しやすいといえます。
やや小ぶりでシャローバック「ZX7 Mk II」
ダンロップ「スリクソン ZX7 Mk II ドライバー」は、「ZX5 Mk II」より横幅が狭く、1~2時方向が張り出したやや縦長形状。シリーズ共通のオープンフェース&トウ側の逃げ感が確認できる点は同じですが、他2モデルよりやや小ぶりで、ヘッドの返しやすさが想像できます。シャローバックでアッパー軌道のスイングに適しています。
投影面積&フェース角でグラフ化
今回の12本を投影面積(縦軸)とフェース角(横軸)でグラフ化。単純に「投影面積」が大きければ、構えたときの安心感に。逆に小さければ、操作性の高さにつながる。「フェース角」はつかまりやすさを把握する指標に。最新ドライバーの購入を検討する際に参考にしていただきたい。
■ 松尾好員(まつお・よしかず) プロフィール
神戸大学工学部卒業後、住友ゴム(ダンロップ)に入社し、クラブの設計開発に携わる。世界4大メジャーで最も多くの選手にクラブを提供した日本人クラブデザイナーとして知られる。現在ジャイロスポーツを主宰。
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